vol.6 酔いのメカニズムとお酒の楽しみ方
2022.12.09今回は、「大人のたしなみ」の一つであるアルコールについて着目します。
酔いのメカニズム
アルコールは、肝臓で「アセトアルデヒド」という物質に分解されます。この物質は極めて毒性が強く、顔面や体の紅潮、頭痛、吐き気、頻脈などの不快な症状を引き起こす原因になります。
アセトアルデヒドを分解してくれるのが、ALDH2(アルデヒド脱水素酵素2)です。
日本人の約44%はALDH2の活性が弱く、お酒に弱い体質(うち約4%はALDH2の働きが全くなくお酒が飲めない体質)と言われています。
酔いのステップ
酔いの状態は下記の6つに分類され、酔いはじめは理性をつかさどる大脳新皮質がアルコールにより麻痺するため、欲望や感情のコントロールがきかなくなっていきます。さらに酔いが進むと運動機能にかかわる小脳が麻痺し、上手く歩けなくなっていきます。
爽快期 | 陽気になる、肌が赤らむ、判断力が少し鈍る |
ほろ酔い期 | 手の動きが活発になる、脈が速くなる、理性が失われる、体温が上がる |
酩酊初期 | 気が大きくなる、声が大きくなる、立つとふらつく |
酩酊期 | 千鳥足になる、同じことを何度も話す、呼吸が速くなる、吐き気・嘔吐がおこる |
泥酔期 | まともに立てない、ろれつが回らない、意識がはっきりしない |
昏睡期 | 揺り動かしても起きない、排泄物の垂れ流し、呼吸がゆっくりと深い、死亡 |
酔いの状態と、血液中のアルコール濃度、おおよその飲酒量を下記のグラフに表してみました。
お酒が飲めない体質以外の方で、お酒をいつも飲んでいると、アルコールを分解して処理するスピードが速くなり、また、脳神経のアルコールに対する耐性もできるので酔い難くはなります。
ただし、身体への影響が少なくなるわけではなく、年齢とともに代謝が落ち、アルコールの代謝も落ちるので、上手な付き合い方ができると良いですね。
お酒を楽しむためのポイント
❶食べながら飲みましょう
空腹時の飲酒はアルコールの吸収が速く、酔いが回りやすいです。また、アルコールが胃壁を荒らしてしまうこともあります。美味しい食事を食べながら飲むとアルコールがゆっくり吸収され、胃への負担も軽減されるのでお勧めです。
❷水分を摂りながら飲みましょう
水を飲むことでアルコールによる胃腸への刺激を和らげ、血液中のアルコール濃度の急上昇も抑えられます。また、アルコールは利尿作用があり、体内の水分を余分に排泄してしまうため脱水になりやすいです。「アルコールと水を交互に飲む飲み方」がお勧めです。
❸良質のたんぱく質と野菜・きのこ・海藻類をつまみに添えましょう
豆腐・刺身・やきとりなどの良質なたんぱく質とともに、サラダ・冷やしトマト・枝豆など野菜を積極的に付け合わせるのがお勧めです。
アルコールを分解するのにもビタミンやミネラルは必要になるので、積極的に摂りたいですね。
「お酒は百薬の長」とも言われますが、「酒は飲むとも飲まるるな」ということわざもあります。
何事もほどほどが肝心ですので、自分に合ったお酒の楽しみ方を今一度考えてみましょう。
text/湘南ヘルスケア研究所 管理栄養士 須田 尚美