vol.20 ストレス解消と休息
2023.06.23みなさんは「ストレス」と聞くと、何を連想されますか?嫌なことやつらいことを連想された方も多いでしょう。しかし、実は嬉しいことや楽しいこともストレスの原因になります。
そもそもストレスとは、「外部から刺激を受けたときに生じる緊張状態」のことです。外部からの刺激には、天候・騒音・病気・睡眠不足・不安や悩み・人間関係が上手くいかない・仕事が忙しいなどがあります。進学・就職・結婚・出産といった喜ばしい出来事でも、変化であり刺激になるので、ストレスの原因になることがあります。
「ストレス」=「からだの緊張状態」をケアしないでいると、次第に心身への不調へとつながってしまいます。自分のストレスサインに、目を向けてみましょう。
ストレスサインとストレスの解消方法
ストレスを受けている状態では、「眠れない」、「お腹が痛い」、「便秘や下痢」、「怒りっぽくなる」、「気分がふさぎ込む」などのサインが出る場合があります。それらの解消には、下記の方法がおすすめです。
❶からだを動かす
WHO「身体活動・座位行動ガイドライン」には、「身体活動により、不安やうつ症状の軽減効果が得られる」と明記してあります。
運動することで、海馬(ストレスコントロールに関係する脳の部位)を促してストレス反応を抑えることができます。
・まずはからだを動かすことから始めてみましょう。10分以上継続できなくてもOK。
・1時間に1回は手首や足首を左右10回ずつ回し、背伸びをするなどストレッチをとりいれ、座っている時間を減らしましょう。
・運動するときは意識を自分の内側に向けるのではなく、外側に向けるのがコツです。運動に没頭して集中することで嫌なことを忘れ、頭がすっきりし、気持ちが楽になります。
・誰かと一緒に運動すると会話によるコミュニケーションや仲間との社会的つながりも生まれ、楽しく運動を続けることもできます。
1人で取り組むことが好きな方もいますので、自分に合った方法で運動を生活の一部に取り入れることもおすすめです。
❷睡眠をとる
いつも忙しい毎日を送っていると、ついつい睡眠時間を犠牲にしてしまいがちです。睡眠をすることで、日中に溜まった疲労物質の排出・細胞や筋肉の修復・ホルモンの分泌など様々な作用が働き、脳や筋肉などの疲れがリセットされます。つまり、心身のリフレッシュには欠かせない時間なのです。
❸生活リズムをととのえる
休日でもできる限り、起床時間や食事の時間を一定にすることで体内時計が狂い難くなります。休日の寝だめはかえって疲労感につながってしまうので、少なくとも1時間遅く起きるくらいに留めたり、昼寝を15分程度とったりするのもおすすめです。
❹体内時計を意識した食事にする
・朝食は簡単なものでもよいので、脳のエネルギー源として、パンやごはんなどの糖質や、体内時計の調整役のセロトニン(自律神経のバランスを整えるホルモン)の材料になる、卵・魚・肉・大豆製品などのたんぱく質をとるとよいでしょう。
・夕食は、就寝3時間前に済ませましょう。寝る直前に食事をすると消化不良を起こし疲労感が残ってしまいます。仕事で遅くなる時や夜勤の時は、18時頃までに軽く食事をし、帰宅後に低脂肪の魚や肉・野菜などのおかずを中心とした食事をとるのがおすすめです。
❺湯船につかる
湯船につかることで、足などに水圧がかかり老廃物の排出を促します。入眠への効果には、午前や早い時間よりも夕方や夜の時間帯が良いです。少しぬるめのお風呂(38~40度)にゆったりつかることで、副交感神経が優位になり、お風呂上りの30分から1時間経過した頃には、体温が下がり始め入眠しやすくなります。
❻光からの刺激を避ける
蛍光灯やパソコン・スマホなどの強い光は脳に強い刺激を与え、睡眠の質を妨げることにつながります。入浴後は、部屋の明かりを暗くして、光の刺激や音の刺激を避けるようにしましょう。
休息の種類
そもそも人間の体力や集中力には、持続できる時間に限界があります。途中で休んで呼吸を整える(リラックス状態にする)こと、これが「休息」です。
こころの休息:脳を休ませる
感覚の休息:外部からの刺激を減らし、感覚を休ませる
感情の休息:気持ちを抑えこまずに感情を処理し自分でいられるようにする
社会からの休息:人付き合いに疲れたら、1人の時間を持つ
身体の休息:睡眠をとって体を休めるか、休憩してリラックスする
さまざまな休息の種類があるので、自分に合った休息をとることが大切です。好きなことをする時間を持つことや、時間に追われている時は、週末にゆっくり休むことでストレスの軽減につながっていきます。
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ストレスは、外部からの刺激により生じた体の緊張状態です。内向的な方にはつらい場合も多いので、心の負担になるようなことを避けるのも予防策の一つです。体の不調のSOSサインを見ないふりをしないで、一息入れることが長く健康でいるためのコツなのかと思います。
ストレスサインがでている時は、1人で悩んで抱え込まずに、メンタルクリニックや産業医へ早めの受診や相談をおすすめします。
text/管理栄養士 中川 千夜子