「長時間眠っても眠気が残っている」、「起きたら頭が痛い」、「体がだるい」と感じることや、周りの人から「いびきが気になる」、「睡眠中に呼吸が止まっている」、と言われたことはありませんか？睡眠時無呼吸症候群の人は、治療を受けていない人も含めて900万人以上と言われています。
今回は、いびきや無呼吸、睡眠時無呼吸症候群などの原因や生活習慣との関係、対策について考えてみたいと思います。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

いびきや呼吸がとまる理由

呼吸で出し入れされる空気が鼻やのど（咽頭・喉頭）を通るときに、通り道が狭いことで振動して音がでる、これがいびきです。イメージは管楽器の音が出るしくみです。眠っているときは、のどを支えている筋肉が緩み、余計にのどが狭くなるためいびきとなるのです。

呼吸が止まる（無呼吸）理由は、大きく分けて２つあります。

①閉塞性無呼吸
肥満や加齢、飲酒、ホルモンの異常、のどの狭い骨格などから、空気の通り道（気道）がふさがることで起こり、いびきを伴うことが多いです。首まわりの脂肪が多くなると気道が狭くなるため、肥満は深く関係しています。また、日本人はもともとあごの小さい人が多く、あごの小ささ、あごの後退、扁桃肥大、舌が大きいこと、鼻炎などの鼻の病気も原因となります。

②中枢性無呼吸
脳から呼吸をする指令が来なくなることで起こります。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

睡眠時無呼吸と生活習慣病の関係

睡眠時無呼吸症候群とは睡眠中に何度も呼吸が止まる病気です。
医学的には、10秒以上息が止まる状態、平均して1時間に5回以上の無呼吸がある場合はこの病気と診断されます。睡眠時無呼吸症候群の方は、眠っている間に何度も呼吸が止まるので血液中の酸素が減ります。
また、交感神経の緊張が進み、血管が収縮したり、インスリンの効きが悪くなったりするため、高血圧、糖尿病、脂質異常症を引き起こし、将来的に心臓や脳に十分に血液が行き渡らず、心筋梗塞や脳血管の病気にかかりやすくなることがわかってきています。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

睡眠時無呼吸症候群かな？と感じたら　

① 生活習慣を見直す
・寝る姿勢の工夫…仰向けは舌根（舌のつけ根）が沈みやすく無呼吸につながりやすい姿勢です。いびきが軽い場合は、横向きに眠るといびきをかきにくくなります。
・肥満を予防し適正体重を保つ…気道の周りに脂肪がつくと気道が狭くなるため、適正な体重を保つことは無呼吸の予防につながります。
・お酒（寝酒）を控える…アルコールにより上気道を支える筋肉が緩むと気道が狭くなり、いびきをかきやすくなります。適量を心がけましょう。
・禁煙…たばこの刺激で気道に炎症が起こると気道の壁が厚くなり気道が狭くなります。禁煙がおすすめです。

② 専門の医療機関やかかりつけ医に相談する
専門の医療機関では問診や自宅での簡易検査、入院での精密検査などから無呼吸の程度や原因を調べることができます。睡眠外来のような専門外来の他、内科、呼吸器科、循環器科、耳鼻咽喉科、精神科などで対応している場合もあります。
閉塞性睡眠時無呼吸のタイプの場合、保険適用で受けられる治療があります。具体的には、マウスピースや「CPAP（シーパップ）療法：経鼻的持続陽圧呼吸療法」とよばれる、睡眠中に鼻にマスクを着けて気道に空気を送り続けて無呼吸を防ぐ治療などです。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

いかがでしたか？睡眠時間はしっかりとっているのに眠気を感じることは誰しも経験されることと思います。その中には睡眠中の無呼吸が隠れているかもしれません。このコラムをきっかけに日頃の睡眠や生活習慣について振り返ってみませんか？

 

text/保健師　佃  景子