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vol.34 消費エネルギーの豆知識と冬におすすめの運動

2024.01.26

寒い日が続くと外に出るのがおっくうになり、暖かい部屋で休日を過ごしたくなりますよね。また冬の時期は、年末年始の飲みすぎ食べすぎや、からだを動かす機会が減って、体重が増えていた方もいるのではないでしょうか。
最近では、1日に8時間以上座っている人は、3時間未満の人に比べて死亡リスクが1.2倍になるという研究結果があり、長時間の座位は健康課題のひとつとして考えられています。また、身体活動量を増やすことや運動不足の解消は、今後健康でいきいきと暮らすためにも重要です。
今回は1日に消費するエネルギーについての豆知識と、冬におすすめの運動をご紹介します。
                                                          

1日に消費するエネルギーの割合ってどれくらい?

人が1日に消費するエネルギーの内訳は、大きく分けて①基礎代謝、②食後に発生する熱、③身体活動の3つです。

①基礎代謝(安静時代謝)
基礎代謝は、目が覚めていて安静にしている状態で、内臓を動かしたり、体温を保ったりなど生命を維持するために最低限必要なエネルギーのことを言います。
性別、年齢、体格、栄養状態などによって個人差がありますが、一般的に女性よりも男性の方が高いです。また、体温が1℃上昇すると、約13%基礎代謝が上がると言われており、1日に消費するエネルギーの割合は、基礎代謝が約60%を占めています。

②食後に発生する熱(食事誘発性熱産生:DIT)
食事をとるとからだに吸収された栄養素が分解されて熱となり、エネルギーが消費され、食後にからだが温かくなります。どれくらいエネルギーを消費するかは、食事の内容(たんぱく質、炭水化物、脂質の量)によって異なりますが、通常の主食・主菜・副菜が揃った食事であれば約10%です。
また、食事のとり方では、よく噛まずに飲み込む、流動食だけをとる場合と比べると、よく噛んで食べる方が食後に発生する熱は高くなると言われています。

③身体活動
身体活動は、ウォーキング・筋トレなどの「運動」と、通勤・家事などの「日常生活活動」の2つに分かれます。運動を習慣的に行っている方や日常生活活動量が多い方は、身体活動量が多くなります。身体活動で消費するエネルギー量は約30%です。

最近では、日常生活活動などの非運動性身体活動によるエネルギー消費(NEAT)と肥満の関連が着目されています。一般の体格の方と比べて肥満の方は、歩行などを含めた立位の活動時間が平均で1日約150分も少ないことが報告されています。なるべく座った動きを減らして、歩くことや家事などの日常生活の活動を積極的に行うことも1日に消費するエネルギーの増加につながります。
                                                          

冬におすすめの「室内でこまめに動く」

寒い時期にする運動のおすすめは、どのようなものがあるのでしょうか。まずは、室内でこまめに動くことです。部屋の掃除やお風呂掃除、窓ふきなど、普段の家事の中でも、少し時間をかけて丁寧にやってみましょう。体重が70kgの人が掃除機がけを10分するだけで28kcal消費することができます。これを週2回行うと3か月で約0.7kg減量ができる計算になります。
エネルギーを消費できて、部屋もピカピカになる、こんなに嬉しいことはありませんよね。

また隙間時間を使って動くのもおすすめです。テレビを観ている時、CMになったらついスマホを観たり、ソファーに横になったりする人が多いと思いますが、そのタイミングを使って、お腹や太ももにグッと力を入れてみたり、ストレッチをしてみてください。大きく伸びをする、首や肩を回すなどの簡単なことでも構いません。同じ姿勢で縮こまったからだをぐーっと伸ばすことで血流がよくなり、からだがポカポカしてきます。

「ながら運動」もいいですね。たとえば、「テレビを観ながら」「歯磨きをしながら」「ソファーでゴロゴロしながら」など、何かをしている時に一緒に運動してしまうという一石二鳥の方法です。テレビを観ている時にスクワットをしてみたり、歯磨きをしているときに太ももとお尻に力を入れてみたりするなど、無理のない範囲でからだをこまめに動かすことが重要です。
                                                          

冬におすすめの「室内でできる運動をする」

日常の生活活動でからだを動かすことからさらにレベルアップしたいという方は、少し汗ばむ運動を室内で定期的に行ってみましょう。どちらも天候や外気温に左右されないので、寒がりさんにもおすすめです。

●腰割り
腰割りで大切なのは骨盤が正しい位置にあることです。大きく足を開いて腰をしっかり落としましょう。最初は壁に背をつけて猫背にならないように意識しながら行うのがおすすめです。1日10回が目安です。
①足を肩幅より少し広げて立ち、つま先を外側に向けて開く。
②両ひざをつま先と同じ方向に向け、手を膝または足のつけ根におく。
③上半身が前傾しないように背中をまっすぐ伸ばし、5秒かけて腰を膝の高さまで落とす。
④5秒かけてゆっくりと元の立ち姿に戻す。

●股関節&上半身のストレッチ
①足を肩幅より少し広げて立ち、つま先を外側に向けて開く。
②両ひざをつま先と同じ方向に向け、膝が直角になるくらいまで腰を落とし、両手をそれぞれの膝におく。
③息を吐きながら左手で左内ももを押して左肩を前に押し出し、目線は右後ろへ向けて上半身をひねる。
④この姿勢を10~15秒キープし、息を吸いながら元の姿勢に戻す。反対側も同様に左右5回ずつ行う。

                                                                                                            

いかがだったでしょうか?1日に消費するエネルギーの割合は、基礎代謝と身体活動量で90%を占めています。日常生活でこまめに動いたり、筋肉量を増やしたりすることは消費エネルギーを効率よく増やすことにもなり、からだに喜ばしい変化をもたらします。未来の健康は、自分の考え方ひとつで変わります。今回ご紹介した運動を試しながら、からだが喜ぶ声(からだが熱くなる、筋肉が伸びて心地よい)をぜひ体感されてみてください。

引用
厚生労働省e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-02-003.html
「図:総エネルギー消費量の構成および非肥満者と肥満者におけるその違い」
大河原 一憲(電気通信大学 大学院情報理工学研究科 情報学専攻 准教授)

 

text/管理栄養士 須田 尚美

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