vol.46 「健康に配慮した飲酒」
2024.10.25最近の飲酒事情
男性は33.9%、女性は9.1%
この数字は、週に3回以上飲酒する飲酒習慣のある人の割合です。
一人当たりのアルコール消費量と同様に、全体としては減少しています。
バブルの頃は「飲めないなんて言えない」空気がありましたが、現在は無理強いをしない時代となっています。
飲酒行動は悪化している
国全体のアルコール消費量は減っていますが、「健康日本21(第三次)」の結果では、アルコールに関する項目は「悪化」と評価されています。
「生活習慣病のリスクを高める飲酒量」という基準に該当する男性は変化がなく、女性では悪化傾向が見られます。
アルコールによる健康障害
たばこと違って「お酒は健康に良い!」と言われていたのは、過去の話です。
急性アルコール中毒、肝臓病、高尿酸血症や痛風の他に、膵臓病、循環器疾患、糖尿病、脂質異常症、メタボリックシンドロームなどが問題視されています。
アルコールは消化管全体に影響を及ぼし、胃食道逆流症や胃の病気、吸収障害など、さまざまな疾患の引き金になります。
さらに、がん、うつ・自殺、認知症、胎児や乳児への影響も報告されています。
飲酒のメリット
適切な飲酒によるメリットは?
適切な飲酒であれば、以下のようなメリットが考えられます。
• リラックス効果
仕事や日常生活の疲れを癒す手段として、一日のご褒美に。
• ハレの時の楽しみ
冠婚葬祭やお祭りでの飲酒、お神酒などの社会的役割や、パーティーで友人や同僚とのコミュニケーションを深めるお供にもなります。
• 料理と合わせて楽しむ
料理に合ったお酒を選んで味わう楽しみもあります。
飲酒ガイドライン
アルコールの影響は個人差がある
年齢や性別、体質によってアルコールの影響には大きな差があります。文化的な背景もあるため、一律に言えない部分も多いのがアルコールの問題です。
しかし、アルコールによる健康障害については明確に知られています。
疾病や行動に関するリスクをわかりやすく伝え、各個人が飲酒やその後の行動について適切に判断できるように、ガイドラインが作成されました。
避けるべき飲酒① どういう時に飲みますか?
● 一時多量飲酒(特に短時間での多量飲酒:1回の飲酒機会で純アルコール摂取量 60g以上)
→さまざまな身体疾患や急性アルコール中毒のリスクがあります。
● 他人への飲酒の強要
● 不安や不眠を解消するための飲酒
● 病気療養中や服薬後の飲酒(病気の種類や薬の性質によって異なります)
● 飲酒中または飲酒後の運動や入浴など、体に負担のかかる行動
避けるべき飲酒② 量が多いと生活習慣病のリスクを高めます
生活習慣病のリスクを高める飲酒量は、1日当たりの平均純アルコール摂取量が男性で40g、女性で20g以上と定義されています。
アルコールの量は、濃度×量です。薄くても多く飲めば、アルコールの摂取量は増えます。
摂取量(ml) × アルコール濃度(度数/100)× 0.8(アルコールの比重)
「月に1回くらいしか飲まないが、その際に大量に飲む」という人は、この基準には当てはまらないものの、「一時多量飲酒」の問題に該当すると考えられます。
健康に配慮した飲酒の仕方
厳しすぎるルールだと「無理だ」と思われることが多いため、まずは自分の飲酒習慣を把握してみてはいかがでしょうか。
*WHOが提供している簡単な質問票(AUDIT)を使用して点数をチェックできます。
飲酒量が明らかに多ければ、減らす工夫を試してみましょう。
• あらかじめ飲む量を決めて飲酒する *量を意識することにつながります。
• 飲酒の合間に水(または炭酸水)を飲む
• 度数を低くしてゆっくり飲む
• アルコールの入っていない飲み物を選ぶ
• 週に飲酒しない日を設ける
簡単にできそうなことから始めてみましょう。
太らないようにご飯を抜くのはNG
ダイエット中でもお酒は欠かせない場合、「お酒にはエネルギーがあるから主食を食べない」という人がいます。
エネルギー収支だけを見れば、確かにその通り。でも、消化管への影響を考えるとお勧めできません。
タンパク質など、身体に必要な栄養が十分かどうかも気になります。
飲酒を楽しみつつ、健康に過ごすマイルールを考えるヒントにしてくださいね。
参考:令和元年国民健康・栄養調査
厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット 「アルコールによる健康障害」
厚生労働省 健康に配慮した飲酒に関するガイドライン
AUDIT 日本語版 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/alcohol/ya-021.html